ストリング張りについて、常に研究しています。
ストリング張りについては機械がストリングを引っ張るので誰が張っても同じと思っていらっしゃる方も多いかと思いますが、これが張る技術、研究などによって打った感じは全く異なります。
ラケットをマシンにセッティングする加減、糸の通し方、横糸のテンションのかけ方などなどで仕上がりが変わってきます。本当に難しいものです!まだまだ研究中です!
ぜひ一度お試しください。
私の考えではラケットの特性はラケット、ストリング、張り手が1/3づつだと思います。
よってラケット1本1本ストリング1本1本丁寧に時間をかけてお張りしています。
また、お張りしましたラケットの変形などを計り極力変形をさせないように張るにはどのように張ればよいか常に研究をしています。
そのためお張り上げ後に変形、テンションチェックなど約10項目を検査し、検査済ということでストリンガーの名前欄をシールに入れてあります。
また、その検査についてお客様にお知らせをしております。
これはサラリーマン時代に身についたものかと思います。
ストリンギングについて
1.変形
一般にストリングは縦を張った後に横を張っていきます。縦を張った時にラケットはストリングの張力によって横に広がります。この広がりを横糸を張ることによって戻していきます。このとき横糸が強すぎるとラケットは縦長に、弱すぎると横長になります。これはすごくデリケートなもので少しバランスが崩れると変形します。変形するとストリング1本1本のテンションが均一にならない為、反発性や打球感が悪くなります。
2.経時変形
ラケットは何回も繰り返しストリングを張っていると経時的に変形していきます。
3.ラケットによる変形
ラケット1本1本変形の仕方が異なります。例えばラケットの上方が落ちやすいもの。横がすごく縮みやすいもの。さまざまな変形の仕方をします。
◎上記の事からストリング張りは技術がいるもので決して誰が張っても
同じではありません。
例えば、最高の食材、最高の道具(包丁など)があっても料理人の
技量によって料理のよさは変わってきます。
これとストリンギングは同じです。
従って、当店ではお客様のラケット1本1本の変形の仕方を常に研究しています。また、お客様のラケット1本1本の経時変化および他のデータ等をデータ表につけ観察しています。
そのデータから、次により良い張りをするにはどうしたらよいかを、常に考えております。
良い張りとはなんでしょうか?
1.ラケットの変形が極力少ない。
●変形が大きいと設計者の意図する打球感、反発などになりません。
●変形が大きいとフレームに負担がかかり破損しやすくなります。
●変形が大きいと衝撃、振動が大きくなり肘、手首などの怪我につながります。
2.ストリング1本1本のテンションのバラツキが少ない。(2ポンド以内が良い)
●バラツキが大きいとコントロール性、スピン、反発性が悪くなります。
●バラツキが大きいと振動が大きくなり、肘、手首などの怪我につながります。
3.衝撃が少ない。
●衝撃が大きいと肘、手首などの怪我につながります。
●打球感がよくないとテニスを楽しむことが出来ません。
他、目が揃っているか?結び目がストリングにあった結び目になっているか?
ラケットをきれいに掃除しているか?など
ストリンギングの工程について
ストリングを張る前 |
お預かりしたラケットを出来る限り綺麗にする。
ラケットのFLEX測定 (全部で5分以上)
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ストリング張り |
これまで蓄積したデータを元に、ラケット及び張るストリング、テンションによって1本1本張り方もしくはテンションの比率などを変えて張ります。出来る限りストリングを張っていない状態と同じ形にするためです。
面が変形すれば当然ラケットにも負担がかかる上、テンションのバラツキが大きくなり打感が悪くなる原因となります。 (変形が大きいとラケットの設計者の意図している打球感、飛びなどが感じられなくなります。)
できる限りロスを少なくし、ストリングにも傷を出きる限り入れないように張っています(テンションを出来るだけ維持するため)。
あと、当然見た目も美しくないといけないので仕切りの処理、3本以上かさばらないことに注意しています。(20~30分)
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張りあがり直後 | 出来る限り目を綺麗に揃えます。(数分) |
張りあがり後 |
出来あがったものを検査(データ取り)します。
テンション、面圧、ボールのついた感じなど。(5分以上) 再度、目揃えをします。(2分~) その後、お客様へのご連絡用紙の記入(3分~)
もし1本1本のテンションのバラツキが大きい(3~4ポンド以上)場合は、再度 張り直しをしております。 |
作業時間 |
工程におよそ50分前後かかります。よって1日最大11件ぐらいの張り替えとなります。 |